ドメーヌ ドゥ ブドン

座右の銘である「« Les vignes dans le ciel »天空のブドウの樹木」はマーケティングのための言い回しなんかではありません。ドメーヌ ドゥ ブドンは文字通、岩がごつごつと出ている標高900mの場所にひょっこりとあります。それゆえ、「つきでたお腹」を意味する« Beudonブドン»という名は、まるでローヌ渓谷に崖から飛び出した鷲の巣を表すかのようです。

完全に孤立していて、ドメーヌまでたどり着くには険しい登山道を歩いて上るか、個人用の小さなロープウェイで上るしか方法はありません。

こうしてたどり着くと、そこはオーク、杉、栗そしてアーモンドの木々の香りの中で時が止まります。しかしその美しさに見とれていてはいけません。創立者Jacques Granges氏が1970年代にこの地でワインを造るために移り住み始めたときには、だれもが彼を「変人」と呼び、実際に、傾斜50度のこれだけの急斜面で2016年に悲劇的な事故でJacquesは帰らぬ人となったのです。

土壌学的にも、また微気候的にも多様性に富んでいる土地だからこそ、ドメーヌでは様々な種類の野菜や生き物が平和にブドウの木と生物多様性を活かしながら共生できます。このような素晴らしい自然と守るために、優しく調和のとれた農業方法が必須でした。こういった理由でJacquesと彼の妻Marionは1992年、バイオディナミック農業へドメーヌを全面切り替えました。世界でもバイオディナミック農業をおこなう先駆けの生産者となったのです。

ドメーヌは完全なる自然エネルギーを活用しており、西側にある小川を利用して家や畑を維持しています。その小川は小さな水力発電所のエネルギーにもなっています。

この魅力的なロケーション、そしてそこから生み出されるなんとも真似しがたいワインのパーソナリティーこそが、スイスのヴァレー州におけるブドンをアイコニック的な存在にしているのです。度々ルポルタージュにも取り上げらており、国際フランス語テレビチャンネルTV5Mondeでは« Une année à la vigne – Les domaines du possible »(ブドウ畑の1年-瀬戸際のドメーヌ)というドキュメンタリーやアワード受賞本Jason Wilson 氏の« God Forsaken Grapes »(見捨てられたブドウ)の中でも取り上げられています。